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人間を中心に据えた「コミュニケーション研究サロン」HCGで楽しもう

2012年度ヒューマンコミュニケーショングループ運営委員長 武川直樹(東京電機大学)

ヒューマンコミュニケーショングループ(HCG)の今年度の委員長を務めさせていただくことになりました。私の研究の興味は,人と人・人と機械のコミュニケーション,ヒューマンインタフェース,インタラクション,画像処理にあります.また,趣味は,人と飲みながらのコミュニケーション(とくに学会の懇親会?),歩くより少し速いジョギングです.どうぞよろしくお願いします。

私は,元は工学ばりばりの画像符号化と呼ばれる研究に携わっておりましたが,次第に人のコミュニケーションに関わる研究に興味を持つようになりました.今は,特に,視線,顔の表情,顔の向き,ジェスチャー,言語を介した人の行動を調べて,その知見を人と機械のコミュニケーションに役に立てようという研究にかかわっています.人を調べる研究には心理学,社会学,言語学など広範な分野の知見が必要ですが,HCGはそのような広範な専門家が集まっていますので,2004年にどきどきしながらヒューマンコミュニケーション基礎研究会(HCS)に発表しました.初めてHCSに発表をしたときに,「コミュニケーションを真面目に研究するのであれば,どんな研究でもウェルカム」という研究会の雰囲気がとても楽しく,以後,研究室の研究成果のメインの発表場所として,たくさん発表させていただくようになりました.議論好きの研究者による楽しい議論ができてうれしく思える場所でした.また,研究者が切磋琢磨する生き残りゲームのような研究現場も悪くはありませんが,HCGはコミュニケーション研究をコミュニケーションの種にして楽しく過ごすサロンの雰囲気があり,文系も理系もお互いの価値観が(その違いも含めて)共有できるところが面白く感じます.それは他の学会ではあまり見られない大きな特徴と感じます.

さて,発表の場としてずっとHCGのサービスを受けておりましたが,サービスをする側になりなさいと声がかかりまして,HCS専門委員会の委員長を務めた後,今回はHCGの委員長をお引き受けすることになりました.私が,HCGでの研究発表を楽しんできたように,会員の皆様が研究発表を楽しめるよう,サービスに一生懸命に取り組みたいと思っています.HCGは,人のコミュニケーションに興味を持つ,工学,心理学,社会学,医学,看護学,霊長類学,文化人類学など様々分野の専門家が集まり,また,対象とするフィールドも,コミュニケーションをキーワードにして仮想空間コミュニケーション,マルチメディア,会話,料理,SNS,教育,医療,福祉,障碍者支援などきわめて多様なところが大きな特徴です.組織としてもヒューマンコミュニケーション基礎研究会、ヒューマン情報処理研究会、マルチメディア仮想環境研究会,福祉情報工学研究会の第1種研究会,さらに第2種から第3種まで含めて11の研究会を擁するまでになりました。

これだけの多様性を持つ研究者が集まる学会組織は,ここだけであると自負してよいのではないかと思います.「人間を中心に据えた」コミュニケーション科学とその応用を目指す研究者たちの熱い議論によって,これまでの縦割りの研究分野を横につなぎ,新しい研究パラダイムを創造し,私たちの生活を変える装置やシステムの登場を期待したいと思います.一方,HCGが「人を中心に据えた」研究のシーズを生み出す場であり続けるためには,組織のサイズではなく,組織としてのパワーを持ち続けることが必要です.現在は,HCGの各研究会はそれぞれ自律的に求心的な役割を果たしていますが,さらに研究に興味を持ち始めた学生の研究の発表の場を提供し,育てる場を提供すること,活躍中の研究者には,議論の場と,論文発表の場を提供することをHCG全体の仕組みとして作ることが課題の一つと考えます.その一つとして,本年度の熊本で開催されますHCGシンポジウムでは,若手が発表しやすいことを考慮して2ページの投稿,学生セクションを導入します.若手のみなさんの多くの発表を期待しております.また,HCGは論文誌を持ちませんが,各ソサイエティの論文誌編集委員会の協力を得て,我々の分野の研究をソサイエティ論文誌の論文として発表の場を作っています.今後も,研究発表,研究論文の成果によって多くの人に影響を与えられるようにできればうれしいと思います.HCGが抱える課題はたくさんありますが,今後に向けて研究コミュニティの場を提供できるように運営委員会一同が努力をして取り組みたいと思いますので,HCGの発展に向けて多くの皆様からのご支援ご協力をよろしくお願いします。